News&Works

【レポート】ウォーターズ竹芝実証実験

2023 05 31

mobility : type_S712

カテゴリ : Project

3月11日(土)~12日(日)、東京都港区の商業施設「ウォーターズ竹芝」で自動走行モビリティ「type-S712」 の実証実験を行いました。JR「高輪ゲートウェイ駅」の周辺開発におけるモビリティサービスの提供に向けた実証実験で、JR東日本と協力して実施しました。

Playableな移動体験を

駅周辺の街づくりのコンセプトは「Playable」。

「実行する・参加する・試す・演じる・ 演奏する・遊ぶ・実験する」などの意味をもつ”play”と、「できる」を意味する”able”で「街に関わる多くの人が”Play”できる」という意味が込められています。

「Playable」な街では、移動もたんに便利なだけでなく、楽しかったり心地よかったり、 ワクワクするものであってほしい。
そんな思いから、今回は「Playable」にこだわった移動体験を設計しました。

水辺の複合施設「ウォーターズ竹芝」

実証実験の場所は、浜松町駅から徒歩6分の場所にある「ウォーターズ竹芝」。東京湾沿いにあり、緑豊かな浜離宮恩賜庭園を目の前に美しい水辺空間が広がる複合商業施設です。

施設の特徴は、アトレ竹芝の商業施設の物販だけでなく「体験」や「文化」に焦点を当てているところ。

劇団四季の3つの専用劇場「JR東日本四季劇場[春] [秋]」「自由劇場」があるほか、「感性に遊び場を。」をコンセプトとする商業施設「アトレ竹芝」では、多様性を体感できるミュージアム、劇場型コミュニティスペースなど、感性を刺激する体験や文化に触れることができます。

施設内の回遊性に課題

そんな従来の商業施設とは一線を画すウォーターズ竹芝ですが、ひとつ課題がありました。

それは、アトレ竹芝ショップやホテル等が入居する「タワー棟」(以下、商業エリア)と、アトレ竹芝の各種コンテンツが体験できる施設や四季劇場などが入居する「シアター棟」(以下、文化エリア) との間で人の流れが分断されるということ。

例えば休みの日には四季劇場に多くの方が訪れますが、舞台が終わると施設内を回遊することなく、その場を後にされることも。

無料のモビリティで人流をつくり、回遊性を向上させる

そこでまずは、商業エリアと文化エリアとの間、約300mを無料で走行し人の流れをつくることに。

さらに、その間の移動体験を通して搭乗者に行動変容を促し、施設内の回遊性向上を目指しました。

行動変容や回遊性の向上については、iinoを導入するにあたって運用費用をどのように賄うかというマネタイズの観点からも重要なポイントとなります。

文化と商業を一つの体験に

移動体験のコンセプトは「竹芝徐々」。

商業エリアと文化エリアをモビリティでゆるやかに繋ぎ、ウォーターズ竹芝の「商業」と「文化」を徐々に、グラデーションを描くように体験していただきます。

走行ルート上には商業や文化にまつわるコンテンツを散りばめました。

点在する場所をコンテンツで繋ぎ、エリア全体を楽しんでいただくことで行動変容を促し回遊性の向上にアプローチしようというものです。

音声コンテンツを活用した移動体験

商業エリアにあるショップ前がスタート地点です。ここで受付を済ませ、肩掛けスピーカーを装着します。
モビリティに乗り込むと、時速約0.7キロで滑るように動き出し、ゆっくりと広場を迂回します。

何艘もの船がならぶ水辺が見えてきます。
肩掛けスピーカーからは、水辺の見どころを紹介する音声が流れます。

水辺を通り過ぎた後、モビリティはプラザ(芝生広場)に設置した「モビリティスポット」へ。

モビリティスポットは、人々が集う「滞在機能」、まちの魅力を発信する「情報発信機能」、点在するエリアを繋ぐ「結束機能」を持ち、回遊性向上の一端を担います。

今回は、アトレ竹芝のショップ、パリ発のオーガニックスーパーマーケット「ビオセボン」で販売されているオーガニックビールやワインをディスプレイし、モビリティスポットで商品PRを行いまし た。

搭乗者は商品に関する音声案内を聴きながら、ディスプレイの前を通過します。

たんなる「広告」にならないよう、音声案内には商品の背景にあるストーリーを感じていただけるような、思わず誰かに話したくなるような、ちょっとした情報を盛り込んでいます。

この日は、HI合同会社代表・平原依文さんが遊びに来てくださいました。

「磯の匂い、レストランから漂う揚げ物の香り、都会なのに広い空。五感を刺激された体験でした」とコメントいただきました。

さらにモビリティは細い小道を進み、文化エリアへ。

ここにはウォーターズ竹芝の特徴の一つである竹芝干潟が整備されています。
スピーカーからは竹芝干潟の歴史が音声で流れます。

最終地点は、文化エリアにあるコミュニティスペース「SHAKOBA(シャコウバ)」。

モビリティに乗ったまま店内に入るとステージ上でジャズの生演奏が。
水辺のモビリティスポットで紹介されていたビールやワインは、ここで購入できます。

モビリティから降りて、生演奏を聴きながら、会話を楽しんだりビールを味わったり。 思い思いの時間を過ごしていただきます。

Playableな移動体験でその場の魅力を引き立てる

実証実験では、音声案内を活用することでPlayableな移動体験を創りました。

体験後のアンケートでは、商品の購入や再訪意欲の向上など、行動変容や回遊性の向上に繋がる結果が得られました。



iinoは走る場所の魅力を引き立てるモビリティです。

施設や商品PRといった広告も、遊びのある、ワクワクするような移動体験としてデザインすることで、それがもつ本来の魅力がより届きやすくなると考えています。


(おまけ)
そして今回、最も「Playable」だったのは...

実証実験のパートナー、JR東日本のプロジェクトメンバーの皆さんによるサプライズ演奏です。 柔らかなファゴットと軽快なギターの音色が、小道から広場へ届きます。素敵な演奏、ありがとうございました!

Project

2023 05 31

URL https://gekidaniino.co.jp/mobility/#type_s

mobility : type_S712