

















横国大大学院 「YNUアーバニストスクール」
2025 10 22
mobility : type_S
カテゴリ : Project
横浜国立大学大学院の都市イノベーション学府・研究院が主催する「YNUアーバニストスクール」。
都市計画を学ぶ大学院生と社会人が一緒に学びながら、都市を舞台に活躍する専門人材(アーバニスト)を目指す、実践型のプログラムです。
今年のテーマは「まちづくりをイノベートする」。
10月9日、ゲスト講師としてお招きいただき、座長・嶋田が横浜国立大学大学院・野原卓教授と「新たなアイデアでまちづくりを変えていく方法」についてお話しさせていただきました。
野武士的なメンバーを集めたり、ダサさを出したり
歩く速さの自動走行モビリティ「iino」。「遠くへ、速く」に価値をおいてきた従来の乗り物とは大きく異なるプロダクトです。
まずは、野原先生からそこへいたるまでのプロセス、発想法をご質問いただきました。
野原:
「時速5キロ」っていうところへ自分たちで到達するプロセスがおもしろいと思うんですけど、そういう発想がどこからうまれてくるのかみたいなところからお伺いしたいと思います。
嶋田:
最初は、野武士的なメンバーを集めることをけっこう大事にしていました。思いついてなんでも一人でやっちゃうみたいな。
アイディエーションする空間は、できるだけ普段行かない場所とか、現場ですでにそれを形にしてる人の近くにいくのが大切で。
あとは、子どもの頃の「とにかく楽しかったからやってた」みたいな原体験からスタートしたり。
「これをやったらクライアントさんに怒られるんじゃ」とか「こんなダサいプロトを出したらあかんやろ」みたいな話もメンバーから出るんですけど、恥ずかしがらずにダサさを外に出しなからやっていくと、意外と気づきがあるんですよね(笑)。
工房と工場の間のものづくり
野原:
将来としてはやっぱりロットを出すイメージなのか、場合によっては一品生産的な世界に走るみたいなのもありえなくないように思うんですが、そのあたりはどうですか。
嶋田:
今のところは、同じものをたくさん生産するっていうのはやめておこうと。そうすると「これ何万台出るねん?出えへんのやったらやめとけ」みたいな価値観がどうしても入ってくるんで。
「工房と工場の間」みたいな、場所にあわせた柔軟なものづくりを工場の効率性でやっていく。そういう世界を目指していくべきだろうみたいな話はしてます。
都市との接続
野原:
ここから先に見えている都市とのより深い接続というか、可能性みたいなことをちょっとお聞きしたいなと思うんですけれども、どうでしょう。
嶋田:
都市との接続を考えたときに、モビリティ単体じゃなくて、都市全体のなかでどういう移動体験をつくっていくか、みたいなところで考えています。
例えば「港から駅まで遠い」という話があると、じゃあiinoはどこを走って、どこに人が立ち寄る空間をつくって、港までの移動をどうやって楽しくするか。
歩行を補完するモビリティの機能だけじゃなくて、まちの空間をつかいながら、いかに街と人をつないでいくかをここ数年実験してきました。
都市生活者としてのアーバニスト
セミナーでは、このほか「モビリティが生み出す経済圏」「都市型iinoにもたせる個性」など、さまざまなお話しをさせていただきました。
大規模な災害や、不透明な経済状況などさまざまな社会課題を抱える現代において、都市の豊かさを高め、潜在力を導くアーバニスト。
「都市の生活者が、自分の持っているちょっとしたスキルをうまく活かしながら、まちにコミットできる力をもてば、みんな
アーバニストなんじゃないか」という野原先生のお話が印象的でした。
モビリティを通して、どのように都市と向き合い、まちを変えていくか。
ゲキダンイイノとして、実証実験から実装のフェーズへと移行するなか、都市と移動との関係を改めて見つめ直す時間となりました。
貴重な機会をありがとうございました。
YNUアーバニストスクールプログラム
https://ynu-urbanist-school.jp