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Rest & Play — iinoジュークボックス化計画

2026 06 02

mobility : type_S712

カテゴリ : Prototype

カテゴリ : Project

Rest & Playとは、自動走行モビリティiinoに非接触充電機能とカセットプレーヤーを搭載したプロジェクト。
スマホを充電スポットに置くとカセットテープが回り、音楽が流れ始める仕組みだ。

きっかけは iino のたまり場づくり

「iinoの上でスマートフォンを充電したい!」というミッションがことの始まり。

スマホの充電ができるとなれば、停泊中でも人が集まれる存在へと転換することができる。こうして、iinoで充電できる&焚き火のように囲める仕組みづくりを目的に、一連のプロトタイピングはスタートした。

非接触充電は日常に潜む、手放すレッスン

非接触充電は、指定の場所にスマホを置くことで充電が始まる。つまり充電している間、スマホは手元を離れることとなる。

この行為を「スマホを手放す」と定義し、コンセプトに据えた。

次に考えたのは、手放している間に何ができるか。スマホと同じような画面とインタフェースを提供するのは手放しているとはいえない。

未来の街づくりの舞台で、カセットテープを回す。

TAKANAWA GATEWAY CITYは「100年先の心豊かなくらしのための実験場」を掲げている。未来に向かう街の中に、過去の時間を持ち込んでみたいと思った。

技術の進歩とともに幸せになれると信じるのは、何も今に始まったことではない。かつて、多様な規格のハードウェアが競うように開発され、企業の巨大な広告が街を彩っていた時代。人々の耳元に音を届けていたのがカセットテープ。100年先を志向する街に、あの時代の音が重なったら何が起きるだろう。

スマホを置く=手放す と、カセットテープが回り始める。「iinoの上でスマートフォンを充電したい!」という出発点は、こうして一台のカセットプレーヤーに辿り着いた。

iinoをジュークボックスに

ジュークボックスはコインを入れると音楽が流れる。このプロジェクトでは、コインの代わりにスマホを置く。充電台がスマホを受け取ると、カセットプレーヤーが動き出す。モビリティスポットを一台のジュークボックスに変えるプロジェクトとして、「Rest & Play」 と名付けた。

なお、当初はレコード店の試聴ブースをリファレンスに、ヘッドホンで聴くスタイルで試作していた。

しかしヘッドホンでは、スマホを手放すという行為が個人の中で完結してしまう。iinoはパブリックな空間に棲みつく乗りもの。

スマホを置くと音楽が聞こえてくる。その仕組みが周囲の人にも伝わることで、手放している光景が共有され、次に乗る人にも伝播していく。スピーカーに変えたのはそのためだった。

現代にないメディアを仕立てる

そもそも現行でカセットプレーヤーを生産しているラインは世界的にも限られている。リバイバルブームで流通しているブランドの新品プレーヤーも、中を開ければどれも大差ないことがわかる。

Rest & Playでは、A面が終わったらB面に自動で切り替わるオートリバース機構が必須だった。パブリックな場で、しかも自動走行モビリティの上で基本無人運用となるからだ。

しかしコストのかかるオートリバースは、カセットの時代の終焉とともにロストテクノロジーに。カセットテープのコミュニティを頼り、かろうじて古い設計を維持し続けている生産ラインからプレーヤーを入手した。

side-A「や・す・む」 / side-B「な・が・す」

カセットテープも特製で作った。制作を依頼したのは、国内でカセットテープの製造を一貫して行うCASSETTE EXPRESS。市販品では珍しいオープンリールを取り付けたのは、テープが回る様子をよりはっきり見せるため。

白いリールには白い文字で「や・す・む」「な・が・す」の文字が刻まれており、テープの黒い部分と重なった瞬間だけ文字が浮かび上がる。Rest & Playの日本語訳が、テープの動きの中で見え隠れする仕掛けだ。カセットのラベルにはside-Aとside-Bがあり、

side-Aには、

1. Place your phone.
2. Wireless charging.
3. A moment of rest for your phone.

当初から想定された充電機能の説明。

side-Bには、

1. The tape starts to turn.
2. Sound begins to play.
3. People gather.

充電の裏側で流れる音楽に、人々が集まるという構想。

やっぱりiinoは走ってないとね

Rest & Playは現在、iinoに搭載されて高輪の街を走っている。当初は停泊しているiinoにスマホを置いてもらう想定だったが、実際に街に出してみると「なんでこのiinoは走らないの?」という声が多く寄せられた。

その声をポジティブに捉えて走らせてみると、スマホを手放すというメッセージとカセットテープの音を、より長い時間届けられるようになった。ドリンクホルダーや照明など、滞在時間が伸びても居心地良くいられるよう、改良を進めている。

今後は無線充電に限定せず、iinoをジュークボックスに変えるプロジェクトとしてRest & Playを展開していきたい。カセットというメディアを活かしたイベント企画も構想中だ。


とある日の営業終了後、Rest & Playを搭載したiino (7号機 hemi) にスマホが置きっぱなしになってました。置いて帰った本人は大変な思いをしたことかと思いますが、「手放す」を実践するその姿に、作者として冥利に尽きる思いでした。

クリエイティブチーム
吉松 駿平

Project

2026 06 02

URL https://gekidaniino.co.jp/mobility/#type_s

mobility : type_S712