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StoryStory

  • 「時速5キロは遅すぎる。せめてジョギングくらいのスピードでないとニーズはないだろう」
    2017年9月、深夜の会議室。
    こうして僕らは、時速7~8キロでの自動運転を想定した走行実験を行うことになった。
    実験機は魚市場などで走るターレットトラックに、ウィンドサーフィンのバーを装着したもの。
    もちろん自動運転ではなく有人走行。イメージは、ごみ収集車の後ろにぴょんと乗り降りする兄ちゃんだ。

  • 被験者達がその兄ちゃんばりに、
    自由に乗り降りする実験シーンに思いを馳せていた。
    ところが実験当日、時速7~8キロで走行させると
    誰も自由に乗り降りしたがらない。

    怖いのだ。
    オープンで背もたれのない乗り物で時速7~8キロは速すぎる。
    カーブでの遠心力も強すぎる。

  • そして、僕らは徐々にその速度を落としていった。
    時速5キロ、3キロ、2キロ、1キロ、と。

    遅くなるほど被験者は自由に動く。
    乗り降りはもちろん、
    スマホで写真を撮ったり、コーヒー片手にひと息ついたり、ボーっとしたり。
    「いつもの道だけど、こんな所に緑なんてあったかな?」 なんて
    会話まで聞こえてきた。

  • 移動体の価値は、
    「目的地までいかに速く到達できるか」。
    そんな当たり前の至上命題ですら
    完全ではないと思えた瞬間だった。
    多くの場合、先人達が積み上げた価値に
    基づいて、僕らは価値を判断する。

    移動体での新しい体験価値と言いつつも、自動車や鉄道が
    無意識のうちにバイアスとなってしまっていた。

Gekidan iino

チーム、ゲキダンイイノ

僕らが対峙している「歩く速度の世界」に宇宙のような深遠さを感じつつ
(一方で、蓋を開けると水たまり程度の奥行しかないのかもしれないが)、
iinoというプロダクトを世に出すところまで来ることができました。

これからも、これまで同様に幾多の難題を目の当たりにするでしょう。
しかしその度に、僕らが時速5キロの世界に感じる深遠さと、実験する中で得られる
新しい発見への喜びを原動力に、走るその場所の持つ魅力を引き立て、
そして乗る人のエモーションを静かに掻き立てることに、持てる力を余すことなく
ぶつけていきます。会社というよりも劇団というほうがしっくりくるこのチームで。

ご協力いただいている全ての方への心からの感謝を胸に、ゲキダンイイノへの
皆さまのご期待に添えるよう、時速5キロで進んでいきます。

ゲキダンイイノ 一同

Company Info

会社概要

  • ゲキダンイイノ合同会社
  • 〒530-0005
    大阪府大阪市北区中之島 3-6-16関電ビルディング3F
  • 嶋田悠介 北田剛士 他
  • 設立
    2020年2月
  • 資本金
    50,000,000円
  • 事業内容
    時速5キロの低速モビリティサービス
    「iino」の運営

実験センター

  • 弊社実験センターで乗車体験いただくことも可能ですので、
    お問い合わせください。
  • 〒567-0059 大阪府茨木市清水2-4-8
    関西電力株式会社 茨木研修センター
    mobility centre